学童期の糖尿病は、血糖コントロールによっては35歳までに腎不全や失明に至ってしまう

糖尿病は合併症にならないための生活習慣、食習慣、運動習慣を徹底する

学童期から高校で糖尿病になり治療を怠ると35歳までに失明・腎不全の合併症

子供の時に糖尿病になってしまったらお菓子や清涼飲料水に注意する

子供は清涼飲料水を飲み続けて高血糖で突然倒れるペットボトル症候群に要注意

糖尿病は、ウィルス感染などが原因で膵臓のβ細胞(インスリンを分泌する細胞)が破壊されて起こる「1型」と、食べすぎや運動不足などの生活習慣が原因で起こる「2型」に分けられます。最近では2型糖尿病の子供が急激に増えています。

糖尿病になった子供の場合、8歳までは1型がほとんどですが、10歳を超えたあたりから2型が増えはじめ、14歳になると2型が圧倒的に多くなります。つまり、小学生のころから生活習慣病になっているのです

子供に2型糖尿病が急増している最大の原因は、大人と同じで肥満です。外で元気よく走り回る子供が少なくなり、室内でお菓子を食べながらゲームをする子供が多くなりました。塾に通うために遊ぶ時間がなく、塾の行き帰りにはファストフードをほおばって、清涼飲料水をがぶがぶと飲んでいます。これでは太るのは言うまでもありません。

最近では、「ペットボトル症候群」と呼ばれる状態に陥る子供が激増しています。太った子供が清涼飲料水を飲みつづけた後、高血糖で突然倒れてしまうのです。コーラやジュースなど多量の糖が含まれた飲料水を毎日、0.5~1リットル以上飲みつづけた数ヶ月後に起こります。倒れたときの血糖値は800ミリをを超えてしまいます。

太っていた糖尿病の方が減量していないにもかかわらず、やせることがあります。これは糖尿痛が改善しているわけではなく、むしろ悪化して高血糖が続いたために、やせてしまったのです。ペットボトル症候群の子供は、糖尿病が悪化してやせることが多いため、注意が必要です。

子供の2型糖尿病の治療は、大人と同じように生活習慣の改善を中心に行います。子供本人だけでなく親が強い意志を持って取り組まないと、治療を続けることはできません。自覚症状がほとんどないのに、子供に生活習慣の改善を求めるのは難しいためです。

しかし、だからといって糖尿病の治療を怠ると、20~30代で合併症を発症します。学童期から高校時までに2型糖尿病を発症した方のその後を追うと、35歳までに腎症や網膜症になり、腎不全や失明といった重い合併症を起こしている人が少なくないのです。食べ盛りの子供こそ、炭水化物をとりすぎないよう厳格な血糖コントロールが必要なのです。

糖尿病の女性の場合、妊娠すると出産に影響があるが、適切な治療で安産も可能

子供ばかりか若い女性にも糖尿病が増えています。特に女性は妊娠によって、糖尿病になることがあります。妊婦が糖尿病になると、母親(本人)ばかりか、生まれてくる子供にも重大な影響を及ぼす危険があるのです。

母親側では、腎症・網膜症といった合併症が悪化したり、巨大な子供が生まれて出産が困難になることもあります。当然、流産の危険性も高まります。さらに、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になりやすくもなります。

赤ちゃん側では、巨大児になるだけでなく、生後すぐに低血糖や呼吸困難に陥る危険が増し、発育不全になったり、成長後に肥満児になる可能性も高くなります。

とはいえ、妊娠中に糖尿病とわかった場合でも、治療を受けて血糖値をしっかりとコントロールすれば、多くの場合、無事に健康な赤ちゃんを出産することが可能です。糖尿病は中高年の病気と考えず、若い女性や子供も定期的に血糖値を検査することが大切です。

ページのトップへ戻る